市販されているボトル・ケース用フィルターは幾つか種類があると思いますが、代表的なのはタイベック紙製、不織布メッシュ製の2種類が挙げられます。
どちらもとても良い素材であり、皆様はそれぞれの特徴を把握された上で、状況に応じて使い分けられているのが現状ではないでしょうか。
例:1本目800ボトルは乾燥を防ぐためにタイベック⇒2本目1400ボトルは酸欠にならないように不織布メッシュ 等
面倒臭がり+腕の足りない私は、それぞれのメリット・デメリットに応じて使い分けるのが大変と個人的に感じていました。何か中間的な物は無いかと。。
また私事ですが、本業で紙加工会社を経営している事もあり、友人や菌糸メーカー様より1種類でオールマイティに使えるフィルターを開発して欲しいという要望も頂きましたので、今回開発する運びとなりました。ですので砦は自社工場にて加工されたオリジナル製品となります。
どうせ作るなら使用してくださる方に喜んで頂きたいので、まずは大まかに、オールマイティな菌糸フィルターに必要な機能は何か?を考えてみました。
① 適度な通気性と気密性 ⇒ 酸素は十分通すが、雑菌・雑虫は通しづらい。但し、乾燥し過ぎない。繊維が均一であること。蓋とボトルの隙間が限りなく少なくなること。
② 吸水性 ⇒ 吸水性が無いと、フィルター内面・蓋裏側の結露が菌糸表面に垂れて劣化に繋がる。(特にカワラ菌糸にとって重要) フィルター全面が結露すると酸欠に直結する。またカビが生えやすくなる。フィルター・菌糸表面の結露を定期的に拭き取る方も多いのではないでしょうか?また、結露をフィルターが吸ってくれれば、常にフィルターが湿った状態になりますので、ボトル内の乾燥防止効果が期待できるのではと考えます。
③ 耐久性 ⇒ 濡れたとしても破れづらいこと。
④ 抗菌性 ⇒ 外部からの雑菌の侵入を抑制すること。内部に存在する雑菌の繁殖を抑制すること。但しきのこ菌糸には悪く作用しないこと。菌糸が培地内で優勢であり続けることにより、発菌が良好になるはず。
①~③を満たす特注紙を製紙メーカー様に抄いて頂けることになりました。
また、フィルター基材選定のポイントの一つである「トビムシが通過しやすいか」について、下記実験結果が出ております。
A トビムシの湧いたボトル(蓋とボトル本体の隙間をテープで密閉)にメッシュタイプのシールを貼り、密閉した発泡箱の中に入れ48時間経過後。
B フィルターのみメッシュ⇒砦に交換し、同じボトルにてAと同条件で48時間経過後。
今回の実験では、写真の通り、トビムシが砦を越えることはありませんでした。※あくまで結果一例であり、確実に通過しないと約束するものではありません。
但し、砦含めてどのフィルターも蓋とボトル本体の隙間を完全に塞ぐことは出来ないと思います。
④に関して、本業にて某商社様と直近数年さまざまな素材へテストを続けている高品質で生物に安全な特殊抗菌薬液を採用しました。水分子に反応して防臭・防カビ・抗ウイルスの効果を半永久的に発揮します。但し、基本的に菌糸表面からボトル蓋までの空間に作用しますので、菌糸ボトル全体の発菌に悪影響は確認されていません。また、既に蔓延する青カビを消し去ることはできません。クリーンな空気を外部から取り入れることにより、菌糸が伸び伸びと快適に蔓延る環境を促進しますので、詰めた後の発菌の良さ・劣化の遅延が期待されます。以下あくまで参考データですが、当校では外観でも差を確認できています。※どの環境・条件でも同効果を保証するものではありません。あくまで補足的な機能とお考えください。
今後の販売経路は、ご興味持って頂けるショップ様のご協力を賜りながら構築して参ります。
まずは12月上旬より、モニター様・ショップ様に初回ロット分を配布させて頂きます。初回ロットに残が出ましたら、Dorcus-Academyにて在庫アップ予定です。
卸売先様も僭越ながら募集させて頂きますので、ご興味持って頂きましたら、当サイトの問い合わせ・Dorcus-Academy XのDM等にてお気軽にお問合せください。
卸売先様に関して、基本的には法人様・開業されている屋号をお持ちの方に限らせて頂きます。(場合によっては、卸売をお断りする場合も御座いますのでご理解ください。)
1枚の紙が皆様のブリードライフを少しでも豊かにできますように。
2024/12/4 Dorcus-Academy 遊鬼